妻の父80歳。母70歳。結婚54年。
二人の長寿を祝う会を持った。
義父は、腰を傷め今年、稲作を断念。
身体もひとまわり小さくなった。
二人が歩いてきた人生は
決して平坦なものではなかった。
戦後、義父が大玉村に入植。
原野を切り拓き、豊かな農地を作りあげた。
16歳で嫁いだ義母は、17歳でわが妻を生み、
その後3人の子どもを授かった。
自然相手の仕事は、時に生活を窮地に追い込むこともあった。
しかし、その困難を乗り切って来た。
日本の戦後の復興は、こうした人々の努力があったからこそだ。
農村が人々の暮らしを育んだ。
しかし、日本人がどうにか食べられるようになると
「豊かさ」の幻想を求めて高度経済成長にのめり込む。
農村から多くの若者が労働力として
都会に吸い込まれてゆく。
この時期、義父のまわりの多くが「出稼ぎ」に出た。
しかし、義父は出稼ぎには出ず家族を守った。
16歳で嫁いだ義母を置き去りにはできなかったのだろう。
義父は、語り出すと止まらない。
辟易することもあるが
「農民として生き抜いた」という自負を語りの中から感じる。
TPPだ、なんだかんだと騒いでいるが
農民として、家族を守り、国民のいのちを守り
美しい日本の国土を守り抜く覚悟を
こうした先人から私たちは引き継がなければならない。