花道のすぐ横に陣取ったわが義民団。花道で見栄をきる嵐圭史、中村梅之助に「豊島屋」「成駒屋」「待ってました」「たっぷり」等の大向こう。これぞ歌舞伎。
楽屋を訪問した際に嵐さんから「あまり筋にこだわらずに楽しいんで下さい」という意味がやっとわかった。歌舞伎は「形」だ。見せるのではなく魅せるものだ。「論理」よりも「感性」。リアルに現実を表現するために長々と説明したので誰も聞いてくれない。ひとつの動きにすべてを表現し尽くす。
だから、歌舞伎は「わかる」のではなく「楽しまなきゃ」だめ。
國太郎のお梶が団七に斬られて倒れる「イナバウアー」がいい。そして、雨の中(本物の水)もみ合う中で振り回す手ぬぐいが水をはじき煙るシーンは秀逸。
嵐圭史の団七、出るたびに衣装が替わる。そのときの団七の心を表現している。最後の「赤ふん」は唸った。
梅之助の宗五郎。あのぐらい酒を飲んで暴れてみたいものだ。